ある談話

「まぁ、正直なところ、縁談の件はガッカリですよ。期待してただけに」
「それでも、誠意は見せてもらったとは思います」
「あの大学はいいところですからね。これからが楽しみです」

13018002 カリヨンの人々、医科大学建設について




その事情

『猫野和錆氏、帝國へ移籍する』

このニュースはNWのみならず、オリオンアームに位置するカリヨン公国にも大きな騒動を巻き起こした。
その騒動に対し、玄霧藩国は声明を発表する。
彼は共和国を裏切ったわけではないこと。個人を国では縛れなかったこと。
そして、カリヨン公国との縁談は残念な結果になってしまったが、これを機に、更なる友好関係を築きたいと言うこと。
その第一歩として、医療問題に悩むカリヨン公国の地に医科大学を建設し、同時にこれの講師や付属病院の医師を派遣すること。
そうして、玄霧藩国の戦いは始まった。



構造設計と制度制定


猫野和錆の移籍については、国内でも意見は二分された。

藩王以下の政庁一同にも、今回の件については完全に賛成しきれない者もいたが、
「今は誠意を見せる時」
との事で一致協力。
カリヨンに医科大学を建設の流れとなった。

その際には、カリヨン国内の印象を損なわない為、カリヨンより藩国に来ている面々より写真や口頭で情報を入手。

北国の寒さに耐えれる設計、街並みの景観に会うような外観、内部設備の充実を念頭に置かれて設計が始まった。
教室内装


技族が総力をあげて設計を進める中、文族率いる国民達は、カリキュラムなどを考案することとなる。
これらは玄霧藩などにも存在する現実的な医科大学と同じカリキュラムを使うことで決定。
カリヨンは歩兵国家との事で、選択式の学科にある程度の追加を増やすことで対応することとなった。
双方における医療技術に格差があってはいけないため、カリキュラムに手を加えるのには細心の注意が払われた。

以下が、そのカリキュラムの図である。


基礎カリキュラム



これらのカリキュラムをこなす為の講師や、実習授業を行なう際の医師等は、玄霧藩国他、海法よけ藩国やリワマヒ国と いった共和国で賛同の取れた国より希望者が派遣されることとなった。
これらの希望者には各国よりの支援が行なわれ、医療発展のために従事することが義務付けられると共に、現地での医療 活動の許可及び権利が約束される。



次いで、受験資格などの制定が進められた。その結果が以下である。

【年齢15歳以上、年齢上限、性別による制限などはなし】
【学年毎の定員は150名とし、上位一割の学生には奨学金を支給、その資金は玄霧藩国より提供される】
【但し、医科大学でのカリキュラム及び実習は、即戦力になる医師を育成する為に高い水準を求められる】
【そのため、学力・能力・適正の試験が行われ、またその要求水準も高くなるので、合格にはかなりの努力を必要とする】


これを元に、玄霧藩国ではカリキュラムが決定した頃よりカリヨン公国へ受験用の小冊子を配布。
前もって講習会を開くなど、所謂「受験勉強対策」にも励んだ。
こちらには、リワマヒ国の室賀兼一藩王より、

『リワマヒ国にはリワマヒ陸軍医科大学というのがあるので、そちらから医療教育に長けたものを選抜して玄霧藩国経由で送るようにします  by室賀兼一@リワマヒ国』

という声明と共に、力強い協力があったことを此処に明記しておく。

また、カリヨン公国の医療従事者に対するOJTも検討された。
こちらについては、付属病院のほうへの再研修の形で技術的・知識的な支援を行なうとし、一から医師を作るだけでなく、医師から医師への技術の伝達を請け負う役割も持たせることなる。


そして建設へ・・・・・・


カリキュラム・受験制度などが正式に決定し、カリヨンでの「受験勉強」が始まった頃には設計も完了。ついに現地での建設に移ることとなる。
この時、学校と病院と言う二つの施設を建てるため、玄霧・カリヨンのみならず、各国の多大な人員が作業にあたることになった。
外観においては静かな街並みに合わせる為、石材を使用。内装には断熱材などを使用しつつ、雰囲気を重視した造りで進めることが決定した。
そのため、各分野で各国の専門知識を盛り込んだ造りとなっている。こちらについてはきちんとした設計の上で可能な部分で改良しているため、強度や耐熱・耐寒など、構造上の問題等は起こらないように配慮されている。

また、正面玄関を入ったところに石碑を置くことも決定された。
この石碑には、友好の証としてカリヨン医科大学を建設する援助をしてくれた皆の名前と共に、医を志すに当たっての理念が彫られている。
『至誠一貫』と彫られたその石碑は、校舎に入るもの全ての眼に入り、常に医者として高潔であれ、と静かに物語っている。


根ざすものは此処に 決意を秘めて

ここに共同出資者を記す。

    宰相府:風野緋璃      
るしにゃん王国:クレール      
    FEG:久珂あゆみ     
       :川原雅       
 海法よけ藩国:森沢        
       :夜國涼華      
  ながみ藩国:結城杏       
   玄霧藩国:玄霧弦耶      
       :睦月        
       :アポロ・M・シバムラ
       :猫野和錆      
       :しじま       
       :アルト       
       :千隼        
キノウツン藩国:はる        
   ヲチ藩国:瀬戸口まつり    
 無名騎士藩国:GENZ      
       :キギ        
  リワマヒ国:リワマヒ国国民   
       :和子        
       :東 恭一郎     
   都築藩国:都築つらね     
   悪童同盟:ゆうみ       
  愛鳴之藩国:花井柾之      
我等、その心に共和国と帝國の区別なく。
医を施す仁を為す事を願う。




もちろん、付属病院のほうも街並み・大学校舎と雰囲気をあわせた上で、中の設備はなるべく最新のものを、より使いやすいものを、とされている。
技術的・知識的にも未発展といわれるカリヨン公国にいきなり最新の設備を導入するのはどうか、と言う意見もあったが、時間をかけて技術・知識を磨く施設である為、機材をそろえるべきとの判断であった。
こちらにも『至誠一貫』の文字は刻まれ、医者の卵たる者達と、それを率いる者たちを見守っている。



余談

玄霧藩国では、医科大学がカリヨン公国で一定の成果を挙げるようであれば、今後の展開として分校も視野に入れている。
これは、カリヨン公国への義理だけで医科大学を建てたわけではないこと、純粋に医療問題の解消に役立ちたいことと共に、幾許かの利益の算段もあるが、それはまた、別の話である。
少なくとも、現時点ではカリヨン公国に念願の医科大学が建ち、医師の卵たちが勉学に励む。


それで、十分であった。


文章:玄霧弦耶、雅戌
絵画:アポロ、イク、しじま
構成:アルト
協賛&感謝:募金して下さった方々

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